歯周病の治療が全身疾患を治す!その原因と症状を解説
2018/12/29
日本では成人の8割以上の人が歯周病にかかっているといわれています。
歯周病といえばお口の中だけの問題であると勘違いしがちですが、歯周病の原因菌が全身に悪影響を及ぼすことが分かってきました。
歯周病自体も放っておくと怖い病気ですが、その歯周病がもたらす様々な全身疾患について、解説していきたいと思います。
歯周病になると全身の血管が炎症を起こす
私達の口の中には様々な種類の細菌が存在しています。
特に歯垢(プラーク)には、1mgあたり1億~10億個もの細菌が存在します。
歯垢が歯の周りの溝(歯周ポケット)に入り込み、そのままの状態が続くと歯周病菌などの細菌が歯肉の炎症を引き起こし、最終的には歯周病を招いてしまうのです。
私たちの体は細菌などの異物が侵入し増殖すると、それを撃退するしくみ(免疫反応)が備わっています。
歯周病菌が増えたときにも免疫反応が起こり、歯周病菌を撃退しようと様々な物質が放出されます。
その際に、誤って正常な細胞まで攻撃してしまいます。
歯周病菌などの口腔細菌が、歯の周囲の血管を通じて全身に広がってしまい、全身の血管で炎症を引き起こしてしまうのです。
実際に動脈硬化を起こした血管壁から、歯周病菌などが見つかることも多いため、歯周病菌が動脈硬化を引き起こす要因の一つと言われています。
また、心臓内に歯周病菌が感染すると、心臓の働きが低下して心不全を引き起こす危険性が高まります。
参考記事:口臭の原因がわからない!歯周病予防や舌や内臓疾患への対策を解説
歯周病は心臓発作や脳梗塞を引き起こす
心臓周囲の血管(冠状動脈)が動脈硬化を起こすと、心筋梗塞で心臓発作を引き起こす危険性があります。
米国の大学の調査では、歯周病を有する人は健康な人に比べて、心筋梗塞を起こす危険性が約2倍も高いという結果が報告されています。
また、動脈硬化を起こした血管内で血の塊が作られて、それが脳まで運ばれると、脳の血管が詰まり、脳梗塞を引き起こす危険性も高まります。
さらには、歯周病が重度に進行した人ほど、認知症のリスクが高まるとの報告もあります。
歯周病は糖尿病を引き起こす
糖尿病は血液中のブドウ糖をコントロールする、インスリンの働きが低下することにより、血糖値が上昇する病気です。
歯周病が進行すと、先ほど説明したように、防御反応として体内から様々な物質が放出されます。
そのうちのある物質が、インスリンの働きを妨げてしまうのです。
ある調査では、歯周病の無い人に比べると、中程度の歯周病の人は2.1倍、重度の歯周病の人は3.1倍も糖尿病の予備軍になりやすいと報告されています。
そして、糖尿病でなにより怖いのが合併症ですね。
合併症により失明、腎不全、神経障害、脳卒中、心筋梗塞などを招く恐れがあります。
歯周病は肺炎を引き起こす
肺炎は日本人の死因の上位にあげられる病気です。
特に高齢者は免疫力の低下と、嚥下機能の低下により、肺炎を引き起こしてしまいます。
私たちは飲食した際に、飲食物が誤って肺に入り込まないように食道へ導くための弁を持っています。
若いうちは、誤って飲食物が食道に入り込んでしまうと、ゴホゴホとむせて排出する働き(嚥下反射)が起こります。
年を取るにつれて、嚥下反射が鈍り、飲食物がそのまま肺に入り込んでしまうことが
多くなってしまいます。
歯周病菌などの口腔細菌が大量に肺に入り込み、誤嚥性肺炎を引き起こしてしまいます。
また、就寝中に唾液などとともに歯周病菌などの口腔細菌が肺に入り込む、不顕性誤嚥による肺炎も引き起こされます。
誤嚥性肺炎や不顕性肺炎はいくら気をつけていても、勝手に口腔細菌が肺に入ってしまう為、ふだんからお口の中を清潔に保つことで、肺炎にならないように気をつける必要があります。
歯周病がもたらすその他の悪影響
歯周病は、上記疾患の他にも私たちの体に悪影響を及ぼす可能性があります。
歯周病が原因で放出される物質のなかには子宮収縮作用を持つものがあり、妊婦が歯周病の場合は早産や低体重児出産の危険性が高まります。
また、高血圧や喘息、骨粗しょう症などをもたらすことも報告されています。
全身的な様々な疾患を持つ患者さんが、歯周病治療を行うことで、症状の改善や検査結果の数値の改善も報告されています。
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まとめ
ひとくちに歯周病と言っても、その症状はお口の中だけにとどまらず、全身疾患を引き起こし、私たちの健康ライフにも大きく影響を及ぼします。
歯周病にならないようにきちんとした歯磨きを心がけ、お口の中を健康に保つことが、全身の健康状態を保つことにつながります。
お口の中の悪い細菌をなるべく減らすことからも、健康なからだ作りには大きな要因となることを覚えておいてくださいね。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます!