虫歯じゃないのに歯が痛い!~咬合性外傷の症状と対処法~
2018/11/09
歯が痛いから、自分では虫歯だと思って歯医者に行ったけど、「虫歯じゃない」って言われた!という経験をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。
歯やお口に出現する痛み(ひどい場合は頭痛やあご全体の痛みなど)の原因には色々とありますが、今回は「咬合性外傷」について解説したいと思います。
咬合性外傷の診断
歯科医は患者さんの主訴、レントゲンなどの各種診査を行い、診断を決定します。
レントゲン上では虫歯が無く、視診によっても、歯や歯の周囲にも特に異常が認められないことがあります。
問診では、痛みが出た時期の行動や疲れ、ストレスなども再度チェックします。
多くの場合
・仕事などが忙しく疲れが溜まっていた。
・ピーナッツなどの硬いものを痛くなった歯だけで咬み続けた。
・普段の生活の中で大きな変化があった。
・普段から歯ぎしりをする癖がある。
あとは、患者さんの顎の形や歯のすり減りなどから判断して「咬合性外傷」という診断名を付けます。
咬合性外傷とは?
通常の咬む力以上の強い力が歯に加わることによって、根の周りの歯根膜や歯槽骨が炎症や破壊されることで、さまざまな症状を引き起こすことです。
咬合性外傷の症状
・知覚過敏
・ズキズキした歯の痛み
・頭痛
・顎や首の痛み
・とにかく全部痛い
以上のような症状が重なって認められる場合もあり、痛みの程度のさまざまです。
症状は虫歯や歯の別の疾患の痛みと非常に似ている為、誤った診断を下されてしまうこともあります。
その結果
・歯を削ってしまう。
・神経を取ってしまう。
・抜歯してしまう。
以上のような、後戻りの出来ない治療を施される場合もあるため、過剰な治療を受けないように気をつける必要があります。
治療内容に疑問を持つことは難しいことかもしれませんが、余裕があれば、セカンドオピニオンとして、他の歯科医院で再度チェックしてもらうこともおすすめします。
咬合性外傷の治療
基本的には軽い咬み合わせの調整や、あえて歯は触らずに痛み止めの処方のみで経過観察をする。
よって、すぐに痛みが無くなるということは期待しないでください。
患者さんによっては、痛みが1~2週間程度持続することもあります。
それをひたすら、強く咬まないように歯を安静な状態にたもつと次第に治ります。
ここで焦って、歯医者が何もしてくれない!
違う歯医者に診てもらう!
そして、違う診断名のもと、後戻りの出来ない治療に踏み切ってしまう場合もあり、歯の寿命を短くしかねません。
症状が分かりにくいため、とにかく焦らず、「我慢すること」が、一番の治療方法になります。
ただし経過を見て、歯茎が腫れてきた、などの別の症状が出てきた場合は、そのことを歯科医に伝えてください。
今度は異なる診断名で治療が始まる場合もありますが、とにかくすぐに削って!などの治療には要注意です。
以上は正常な咬み合わせの患者さんに対する内容となっています。
人間の歯は年々すり減ったり、移動したり、場合によっては被せ物の高さの異常や矯正治療により咬み合わせが悪くなることもあります。
以上の場合は根本的な原因を除去しなくてはなりません。
もちろんそのような場合は、歯科医の適切な診断の元、原因の除去(治療)を行ってくれるはずです。
咬合性外傷の予防
咬合性外傷の症状は1つのサインです。
歯が「強く咬まないで!」とあなたに訴えているのです。
生活のリズムの変化によりストレスが溜まっている時、疲れが溜まっている時、力を入れて踏ん張る時など、ありとあらゆる場面で強く咬みしめてないか自己分析してもらうことで、症状との因果関係を見つけてもらい、咬み方を注意してもらうことが最大の予防になります。
また、症状が改善したとしても、しばらくは咬み方を注意して生活されると思いますが、油断してまた強く咬んでしまうと同様の症状が再発してしまいます。
その時は再度、自己分析してもらい、心配なら歯医者に行って診てもらいましょう。
そこで再び「咬合性外傷」の診断が出たら「虫歯じゃなくて良かった」、程度の感覚でいることが歯の寿命を考えると良いと思います。
まとめ
歯の寿命の事を考えると「咬合性外傷」という診断がついたことにラッキーだったと考えて下さい。
また歯は少しでも削ると、その時点から歯の寿命が短くなってしまうということも意識してください。
「歯ぎしりは歯の寿命を左右する見落とされがちな習癖ですよ!」の記事でも解説していますが
「歯の使い方を自分で意識できるチャンスを得る事が出来た」
といっても言い過ぎではないと思います。
参考記事:歯ぎしりは歯の寿命を左右する見落とされがちな習癖ですよ!
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます!