新規サイトの目標設定|PVを決める前に確認したいこと

公開したばかりのサイトで「初月の月間PVは10万」と決めても、比較できる実績や集客経路がなければ、その数字が妥当か分からない。先に考えたいのは、訪問者に何をしてほしいか。日本のアーティストを扱うメディアなら、記事を読んだ人に人物資料も見てもらいたいかもしれない。文化イベントの主催者なら、開催概要を確認し、申込ページへ進んでもらうことが目的になる。

新規サイトの目標は、売上や読者数だけで決めなくていい。「必要な情報を公開できたか」「届けたい人に届いたか」「訪問者が迷わず行動できたか」に分けると、着手すべきことが見えやすい。公開直後は訪問者が少なく、一本の記事の反響で数字が大きく動く。達成か未達かを急いで決めるより、次の改善に使える数字を集めたい。

まず、サイトが担う仕事を一つの文で書く

サイトの役割を「認知拡大」とだけ書くと、記事を読んでもらうこと、SNSで話題になること、取材依頼を増やすことが一緒になってしまう。「日本の舞台俳優の経歴を調べる読者が、確認済みのプロフィールと出演歴にたどり着けるようにする」と書けば、誰に何を届けるのかがはっきりする。芸能・文化事業の公式サイトなら「公演に関心のある人が日時、会場、料金を確認し、公式の申込先へ進めるようにする」だろう。

メディアの成果と事業の成果は分けて考える。人物記事の閲覧数が増えても、それがそのまま問い合わせの増加につながるとは限らない。反対に、訪問数が少なくても、出演依頼ページを読んだ担当者から適切な相談が届けば、事業サイトとしては意味がある。両方を追うなら、今はどちらを優先する時期なのか決めておく。

主目的と補助目的を分ける

公開時の主目的は一つ、補助目的も二つ程度までに絞りたい。たとえば文化ニュースを新たに発信する団体なら、主目的は「継続して読まれる記事群をつくる」。補助目的として「人物資料への回遊」と「取材に関する問い合わせの受付」を置ける。目的を増やしすぎると、トップページですべてを強く案内することになり、読者が次に何をすればいいか分かりにくくなる。

数字を決める前に、出発点と使える資源を確認する

既存のSNSアカウントやメール配信、実店舗、過去のイベント参加者など、サイトへ人を案内できる経路を書き出す。新規ドメインで読者基盤もないサイトと、すでに告知先を持つサイトでは、同じ初月PVでも達成の難しさが違う。業界の平均値をそのまま目標に借りるより、自分たちがどこへ、何回案内できるかを起点に考えたい。

制作に使える時間も確認が必要だ。月に何本の記事を公開できるかだけでなく、事実確認に割ける時間、プロフィールの更新担当、問い合わせに返信できる頻度まで見ておく。週二本書けても、出演歴の確認や権利処理を含めると続かないなら、月四本を安定して出す計画のほうが役に立つ。公開本数は読者への約束というより、品質を保って運営できるかを見る内部指標になる。

机を囲んで 公開計画を 確認する 編集担当者

成果指標と、その手前の指標を組み合わせる

最終的な成果だけでは、どこを直すべきか分からない。問い合わせがゼロだったとしても、訪問者が少ないのか、問い合わせ先が見つからないのか、判断に必要な情報が足りず連絡を控えたのかで対策は違う。訪問から行動までの流れに沿って、確認する数字を決める。

サイトの目的 最終的に見たい行動 手前で確認すること
人物情報を届ける 人物資料や関連する記事を読む 記事への流入、資料ページへの移動、古い情報への指摘
イベントを案内する 公式の申込先へ進む 開催概要の閲覧、申込先のクリック、日時や料金に関する問い合わせ
仕事の相談を受ける 条件に合う問い合わせが届く サービス説明の閲覧、フォーム到達、記入途中の離脱

PVやクリック数からは行動の一部が分かるが、内容を理解したかまでは読み取れない。問い合わせも件数だけでなく、対象外の相談が多くないかを見たい。届いた質問や誤解の傾向を数字と一緒に記録すると、案内文の不足に気づける。アクセスを編集上の判断に使うなら、芸能・文化記事のアクセス解析を編集に生かす方法で扱うように、ページごとの役割を踏まえて読むとよい。

「達成」の条件は、数値だけでなく期限まで書く

「問い合わせを増やす」だけでは、いつ達成したと言えるのか分からない。公開から三か月の目標なら、「受付フォームが正常に動き、対象に合う相談が月に数件届く状態を目指す」のように、期間と条件を書く。ただし、月に「数件」が現実的かどうかは、既存の接点や案件の規模による。判断材料がなければ、最初の一か月は基準値を集め、その結果を見て次の目標を決めてもいい。

割合を見るときも母数を忘れない。訪問者が少ない間は、問い合わせが一件増えただけで転換率が大きく変わる。率だけで報告せず、「対象ページを見た人数」と「実際に行動した件数」を並べて残しておく。

公開後の目標は三段階に分ける

立ち上げ時から長期的な売上だけを追うと、公開直後に直せる問題を見落としやすい。段階ごとに確かめることを変えよう。

  1. 公開直後:情報が届く状態を整える。主要ページを閲覧できるか、スマートフォンで日時や連絡先が読めるか、申込先やフォームが動くかを確認する。記事サイトなら、出典の扱いと更新担当も決めておく。
  2. 初期運用:訪問後の行動を見る。どこから訪れ、目的のページへ進んだかを確認する。問い合わせの内容や読者からの指摘も記録する。この時期の数字は、成功を宣言するためではなく、基準値をつくるために使う。
  3. 改善期:変更を一つずつ試す。案内文が分かりにくければ見出しを直す。人物記事から経歴を確認しにくければ、適切な資料ページへの導線を足す。変更日を記録し、前後を同じ条件で比べる。

イベントの開催日が決まっているなら、この三段階を短期間で進める必要がある。ただ、申込件数は出演者の発表や販売開始時期、告知先の規模、会場の定員にも左右される。サイトだけの成果と決めつけず、いつ何を告知したかも数字と一緒に残しておきたい。

芸能・文化分野では、信頼を損なわない条件も目標にする

人物の経歴や私生活を扱うサイトでは、閲覧数を伸ばすために未確認情報を急いで掲載しないことも大切な運用方針だ。「確認できた事実と推測を区別する」「公開後に誤りが分かった場合の修正窓口を設ける」といった基準は、PVとは別に管理する。話題が集中した日の閲覧数だけを成功と見なすと、事実確認や継続的な更新に使う時間が削られかねない。

公式事業サイトでも、過去の出演実績や推薦の言葉を載せるなら、本人や関係者が認めた内容か、現在も使える表記かを確認したい。申込につながる数字と、掲載情報への信頼は切り離せない。目標表には「成果を増やすためにも省略しない作業」を併記しておくと、忙しい時期にも判断しやすい。

出演歴を 確認しながら 人物資料を 整える 担当者

見直しの日付と、変える条件を先に決める

目標は見直すものだが、数字が悪い日ごとに変えていては比較できない。公開前に「一か月後は計測や表示の不備を確認する」「三か月後は記事と案内ページの利用状況を見て優先順位を決める」と、見直す日と内容を決めておく。季節行事や大型発表がある月は、平常月と分けて見る。

目標値を下げる前には、当初の計画を実施できたか確認したい。予定どおり記事を公開したか、SNSで告知したか、リンク先は正しく動いていたか。実施できていなければ、需要がないと判断するには早い。計画どおり進め、十分な閲覧もあるのに行動が少ないなら、ページ内の情報や次の行動の示し方を調べる。

たとえば新設した公演案内サイトで、公開一か月後に「開催概要は読まれているが、申込先への移動が少ない」と分かったとする。翌月の目標をいきなり申込数の大幅増にするのではなく、「スマートフォンで日時・料金・申込先を探しやすい位置に整理し、変更前後のクリック件数を記録する」と決める。これなら、担当者がまず直す場所も、結果を確かめる方法も明確だ。